J.Cinema 『トム・ダウド/いとしのレイラをミックスした男』

最近続いていますが、今週も音楽系のドキュメンタリー映画を1本ご紹介したいと思います。
音楽ファンならずとも、だれもが一度は耳にしたことのある、1970年の名曲、「いとしのレイラ」。エリック・クラプトンとデュアン・オールマンのギターによる名曲として、名を残している曲ですが、この曲をプロデュースし、ミックスしたのが、トム・ダウド、という人です。

今週は、そのトム・ダウドにスポットを当てたドキュメンタリー映画、タイトルもそのまんま、『トム・ダウド/いとしのレイラをミックスした男』をご紹介いたします。





この映画は、エリック・クラプトンとデュアン・オールマンの出会いから、「いとしのレイラ」が生まれた秘話や、アーティストや関係者たちの貴重な証言を交えながら、彼の77年間の人生を追ったドキュメンタリー作品です。

でも、なぜ、「いとしのレイラ」をミックスしたトム・ダウドの映画が、大きくはないものの、影でひそかに噂になりはじめているのでしょうか???

トム・ダウドは、レコーディング・エンジニアとして、伝説的な手腕を持ち、R&B、ロック、ジャズ、ソウルといったアメリカの音楽界の名盤に重要な役割を果たした人物なんです。彼は若い頃から数学と物理学に長け、陸軍時代には、原爆実験の放射線を調査する専門家チームの監督をしていました。除隊後は、その科学的な知識をレコーディング技術の変革に適用するため、アトランティック・レコードに入社。それ以降、その生涯をアトランティックで過ごすわけなのですが、彼の人生は、まさにアメリカのサウンド技術の歴史、と言っても過言 ではなく、モノラル・トラックからステレオ、8トラック、そしてマルチトラック・レコーディングへと変遷(へんせん)をたどってきたアナログのレコーディング時代のパイオニアだったわけです。

そんなわけで、彼の人生を追ったドキュメントなんですけど、それは、アメリカ音楽におけるレコーディング技術の歴史を見ることと同じ!ということで、音楽的価値が非常に高い内容になっているわけです。映画を盛り上げるアーティストは、Allman Brothers Band、Ray Charles、Erick Clapton、John Coltrane、Aretha Franklin、Ben.E.King、Les Paul、Phil Ramone、Otis Redding、Lynyrd-Skynyrdといった面々。

途中で費用も底ついたことから、この映画の制作には7年も費やし、残念ながら完成3ヶ月前に本人のトム・ダウドも76歳でこの世を去ります。Ray Charlesもそうですが、今となっては、時代の証人たちの生を声を一堂に収めることが出来た唯一の映像となったわけです。歴史的な音楽の、しかもレコーディング技術という裏方さんのお仕事ぶりを見る、またとないチャンスだし、デジタルの時代の今だからこそ、アナログの音を心して聴いてみる・・・そんな体験をしてみませんか?

トム・ダウド/いとしのレイラをミックスした男』は渋谷UPLINK Xで上映中です。
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by kanyukumari | 2006-04-18 02:44 | J-Cinema 06
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