Jumble Cinema そこにある音『Touch the Sound』

今週のJumble Cinemaでは、3月11日から公開になっている映画「Touch the Sound」をご紹介します。

この映画はグラミー賞を2度受賞しているパーカッショニスト(ドラムなどの打楽器演奏者)、エヴリン・グレニーが見つけた、不思議な音の世界が体感できるドキュメンタリー映画です。




アイルランド出身のパーカッショニスト、エヴリンは、幼い頃に聴覚障害を発症。彼女は耳が不自由なのですが、音楽家への勉強を続け、耳からではなく、身体全体を通して音を感じる術を身につけていきます。彼女にとってみれば、音楽とは楽器が作り出す調べだけではなく、全てのモノ、万物が持っている、声やパッションを体感することなのです。エヴリンが触れると、そこに音楽が生まれる・・・。その「体感する音」を求めて、ドイツ、NY、日本と、音を巡る旅に出たエヴリンを追ったのが、このドキュメンタリー映画です。この作品の中で、エヴリンは、ドイツでは即興演奏家のギタリスト、フレッド・フリスと共演し、NYでは街頭パフォーマンス演奏、日本では鬼太鼓座とのセッションを楽しみます。

音との関連性もあって美しいアーティステッィクな映像は、映画としては、若干ダルさを感じますが、この映画はエヴリンが見つけた「音」を一緒に体感することにあります。

実は私はこの映画を見る前に、エヴリンの音体験を実際に生で体験してきました。1月末に、プロモーションで来日中だったエヴリンは、都内の小学校でワークショップを開催しまして、そこに私も参加させてもらいました。

映画の中でも聴覚障害の子どもに「音」を体感させるシーンがあるのですが、このワークショップでもエヴリンは子ども達に、音を鳴らすものに手や身体を当てて、鳴らした時に身体に伝わる振動や余韻の違いを教えていきます。音が出るものに、力を入れて触ったり握ったりすると、その音の振動が遮断され音が消えます。でも、力を入れないで優しく触れたり、支えたりすると、その音の振動が触れたところから身体全体に広がり、音を全身で感じるようになるのです。

彼女が子供達に話す言葉を聴いててハッと思ったのが、このことは音を体感することだけじゃない概念なんだってことです。

身体や気持ちに力を入れて固くしていると、音だけじゃなくて、発信している声やパッション全てを受け入れられずに遮断していることになるんだなぁ・・と。まず自分の身体や気持ちの力を少し抜いて、モノゴトに優しく接していくようになれば、今まで気づかなかった反応や広がりが見えてくるかもしれないってことですよね。音の最後の振動まで身体に伝えるような感覚で、人の意見や、自分が遭遇する物事を、まず素直に受け入れてみる。そうすると、今まで自分が○×や好き嫌いの極論で判断してきた事に変化が起きるかもしれない・・・。これからは、出来る限りニュートラルな心境で物事に接していきたいなぁ・・・、とエヴリンに出会ったお陰で思うようになりました。たぶん、その方が気持ち良く過ごせそうですよね。

そんな気持ちを教えてもらった、「Touch the Sound」は、渋谷のユーロスペースで、ただ今公開中です。映画をご覧になった方は、エヴリンの音をどう受け入れたか、聴かせてくださいネ。
[PR]
by kanyukumari | 2006-03-28 01:41 | J-Cinema 06
<< トロの頑張り ☆GGJC第155回放送0325☆ >>