「Door In The Floor」の原作者John Irvingと彼の作品のご紹介

今週は、今、恵比寿ガーデンシネマで公開している映画「Door In The Floor」を記念して、この映画の原作である、「未亡人の一年」の作者であり、私の大好きな作家のひとりでもある、John Irvingについてお話します。




現代アメリカ文学を代表する巨匠のひとりである、J.アービング。1942年、ニューハンプシャー州生まれの63歳。1968年『熊を放つ』でデビュー。78年『ガープの世界』がミリオンセラーに。以後、『ホテル・ニューハンプシャー』『オウエンのために祈りを』『サーカスの息子』などを発表。19世紀イギリスの偉大なる作家ディケンズを敬愛するアービングの小説は、とにかく、長い、長編小説を書くことで有名なんです。余談ですが、J.アービングを日本に紹介した人物のひとりが、村上春樹です。アービングのデビュー作『熊を放つ』の翻訳をしたのも彼です。村上春樹ファンがアービングのファンでもある人が多いんじゃないでしょうかね。そのものずばり、私がそうなんですけどね。

アービングの作品の魅力は、長い物語の中でも飽きることのない、綿密なストーリーテリングにあります。主人公の、ある夏の一時、を書くのではなく、その人の一生をクリエイトして描いているんです。その手法は、時には暴力的、攻撃的なところもあるんだけど、キャラクターが個性豊かな人たちであり、その人や家族を巻き込んで繰り広げる出来事が、コミカルに描かれていて、本人たちは笑わせようとしているのではなく、必死に生きているのに、その必死さが無様だったりして、あ~、人生って可笑しいものなのね、って毎回思わせてくれる、のがアービングの作品です。

この面白い物語がゆえに、彼の作品は映画化されることが多いんですね。実際に本は知らないけど映画・ビデオで見た、という人も多いんじゃないでしょうか?
まずアービングの出世作となった『ガープの世界』は、1982年ジョージ・ロイ・ヒル監督で映画化。ロビン・ウィリアムズ主演で主人公のガープを熱演。この映画がロビン・ウィリアムズの出世作にもなりましたね。ジョージ・ロイ・ヒル監督といえば、「明日に向かって撃て」「スティング」など数々の名作をつくった巨匠。ガープでは、空中に舞う赤ちゃんと、流れる曲はビートルズの「When I’m 64.」、というオープニングが印象深いです。次に映画化になったのが、1984年の『ホテル・ニューハンプシャー』。トニー・リチャード監督で、出演は、ジョディ・フォスターや、ロブ・ロウ、ナスターシャ・キンスキー、そしてマシュー・モディーンも出演しています。この映画はガープよりもより原作に忠実に描いた作品なんで映画としての評価はイマイチだったようですけど、私は結構好きな作品です。複雑さとコミカルさがよく出ていたと思います。次は『オウエンのために祈りを』が原作で、『サイモン・バーチ』という作品が1998年ですね。アシュレイ・ジャッドがキレイな母親役で出てきたのと、最後にほんのわずかジム・キャリーが出演しています。「サイモン・バーチ」のすぐ後が「サイダー・ハウス・ルール」。監督はラッセ・ハルストレム。出演は、トビー・マグワイア、マイケル・ケイン、シャーリーズ・セロン。この作品で初めて、アービングは自分の原作の脚本を担当し、見事2000年の第72回アカデミー脚本賞を獲得しています。この作品の映画化には13年の歳月と4人の監督交代劇があり、アービング自身がもっとも思いいれの強い映画になったと思われます。本人もチラッと出演しているんですよ。本人が脚本書いた方が原作とは違うものになる確率が高いかもしれない。映画の物語として、まさにちょうどいい展開でまとまっている作品です。それまでの3作品は、やはり原作の物語をなんとか表現しようとして四苦八苦している感がありましたからね。そして、5作目として、今、上映中の映画「Door In The Floor」は、アービングの9作目の長編小説「未亡人の一年」が原作です。この映画は、小説で言うと、物語の1/3、前半部分、女主人公ルース・コールが4歳の時の、パパとママのお話だけを短編小説風にクギって映画化したものです。監督はこの作品が初監督となる、トッド・ウィリアムズ。ルースのパパ、テッド・コール役には、ジェフ・ブリッジズ。ルースのママ、マリアン役には、キム・ベイシンガー。そして4歳のルース・コールには、ダコタ・ファニングの妹のエル・ファニングが演じています。演技派の2人が、大人の演技をたっぷり見せてくれます。ほとんど原作どおりの展開で、最後の最後まで穏やかな静かなトーンで展開されるので、秋にじっくり、しっとりとした映画をお好みでしたら、お勧めです。今は、恵比寿ガーデンシネマで上映中です。アービングの方は、ただ今、10作目の小説「第4の手」の映画脚本を執筆中とか。まだまだ楽しませてくれそうで嬉しいです。これを期に、アービングの小説もぜひ、読んでいただきたい!!お勧めでっす!
[PR]
by kanyukumari | 2005-11-14 02:01 | J-Cinema 05
<< ☆GGJC第137回放送1119☆ ☆GGJC第136回放送1112☆ >>