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サイレントシネマLive「浮草物語」

台風17号の影響で、荒れ模様だった、この週末、雨脚が少し退いたのと同じタイミングに銀座に向かった。無声映画伴奏者の柳下美恵さんによる、サイレントシネマLive。今日の上映は小津安二郎監督「浮草物語」(1934年)

恥ずかしながら小津の作品をちゃんと観るのは、これがはじめて。
ちょうど一年前に尾道に行き、おのみち映画資料館で、展示されていた撮影機材や撮影風景の写真などを見学したのを懐かしく思い返しました。(また、行きたいな・・尾道♪)




『浮草物語』 1934年/松竹蒲田作品/110分  
監督:小津安二郎 出演:坂本武、飯田蝶子、突貫小僧他

田舎町の駅に「市川喜八一座」が4年ぶりに降り立った。
翌日、喜八は贔屓筋への挨拶といって昔の女おつねのもとへ向かう。
喜八の女房おたかは一計をめぐらし…。
京マチ子、若尾文子主演で、のちにリメークされた珠玉の名作。 

この風来坊「喜八」が、男はつらいよの車寅次郎のモデルになっているとか。なるほど、ラストの去り際は、まさしく寅さん!っていった感じ。しかし、なんと言ってもこの映画の魅力は、女性の懐のでかさ。今の脚本家なら、韓流や昼ドラのような、お金と権力争いの臭いプンプンの愛憎劇に仕立てられるだろう。昼ドラまでいかなくても、たとえ自分が「おつね(昔の女)」の立場であったら彼女のように振舞うことが出来るか・・。たぶん、出来ないと思う。

お話も面白かったけど、随所に見られる小津の細かさ(桶の置き場所ひとつとってみても)みたいなものに触れられたのも楽しかった。

柳下さんのシネマLiveは、「サイレント映画」ということもあり、普段なかなか観る事が出来ない作品に出会える・・しかも家でビデオを観るのと違い、たくさんの人たちと、その想いが共有できる、素敵な場です。作品の上映が始まると、終わるまでの110分間、ノンストップで弾き続ける柳下さんは本当に凄く、でもその凄さを実感するのは、上映中は、今Liveで、そこで弾いている、というのを感じないくらい、その演奏があまりにも自然だ、ということ。これからもいろいろな作品を教えてもらいたいです。
by kanyukumari | 2005-09-26 00:11 | M-s Review
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